令和1年式、日産NV350キャラバンのディーゼルエンジン車で、走行中にエンジン警告の黄色いランプが点灯し40km/hぐらいしか出なくなったとの事で車両入庫しました。
状況の聞き取りをしたところ、長い上り坂を上っている最中にメータ内のエンジンチェックランプが点灯と同時に、40km/hぐらいのスピードしか出なくなり、平坦なら頑張って60km/hぐらい出すのがやっとだったとの事。
入庫時にエンジンを空吹かししてみる感じでは、エンジン本体に問題は無さそうです。
エンジンチェック点灯している事から、安全のためにフェールセーフで車両が意図的にスピードを出せない制御を行っているようです。
OBD診断機で故障コードを読み出してみると、P012Bというコードが出ました。
修理書を調べてみると、ターボチャージャー入口圧力センサー系のコードで、点灯条件は、実際の過給圧と目標過給圧の誤差が基準値を超えた場合との事。
一度異常コードを消去し試運転をしたところ平坦地では、問題ありません。
ところが高負荷時の登りになると同じ状況が再現されました。
推測するにターボ圧高くなる登坂時に、原因となる問題が発生しているのだと思われます。
まず初期点検としてターボ圧がどこかで漏れていないかを目視で確認していきます。
インタークーラーが付いているので、吸気側配管が長くどこが漏れているのか調べるのは少し手間取りそうでしたが、助手席を上げてエンジンルームを開けてすぐ見える部分から調べたところ、すぐに亀裂の入ったパイプを発見する事が出来ました。
原因となった部品は左ホイールハウス内からターボにつながっているパイプでした。
どうしてこんな所に亀裂が入ってしまったのか原因は良く分かりませんが、これだけの亀裂があれば結構エア漏れしてしまうでしょうね。
こちらは交換したパイプの接続部分。
パイプの取付が少し特殊で、スナップリング的な感じで、外す時はスプリングを外し、はめるときは押し込むだけではまるように工夫されていました。
後の聞き取りで、異常が出るちょっと前から吸気音が大きくなってたような気がしていたとのお話でした。
亀裂が振動で徐々に広がり、最終的にはエンジン警告点灯で加速不良といった流れかと思います。
異常発生後にあまりにもスピードが出なさ過ぎて、工場へ向かうのが大変だったとの事です。
ターボの圧が漏れてるぐらいなら普通はもっと走れるはずです。
フェールセーフ機能のおかげで過剰に制限がかかってしまったという事なんでしょうね。