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9月 302021
 

今朝、ニュースや新聞などでトヨタ系列ディーラーの不正車検が話題になっていました。

同じ自動車整備業界で働く者として非常に考えさせられるニュースでした。

実は私も自営で修理販売業をする前は、トヨタ系ディーラーでメカニックとして働いていた経験があります。

トヨタの自動車整備専門学校を二十歳で卒業し、ディーラーへ勤める事となったのが今から約27年前ですので、今の自動車業界を取り巻く環境は大きく違うとは思いますが、本質的には今でもその当時と変わらない事も多いんだなぁと思いました。

ネットニュースでのコメントで、現役ディーラーメカニックの方の話を聞いていると、過酷なノルマと過度の入庫による残業等、私がその当時ディーラーで働いている時と変わらない現場もあるんだなぁ、と再認識。

私が勤め始めた時代は、車検が多い月だと深夜まで残業とサービス残業は当たり前の時代でした。

今の時代、そういう事はもう現場では無くなっているのだろうと思っていましたが、今でもそういう事があるのだという事に驚いています。

あの当時は就職氷河期で、尚且つ車が好きで整備士にあこがれる若者が多い時代でしたし、整備士のなり手不足など到底考えられない時代でした。

ですからディーラーのサービス部門はいわゆる体育会系、ミスをすれば上司に怒られるなど当たり前でしたが、それでも皆頑張っていました。

また、それは当時どの業界でも当たり前の事でしたからね。

ディーラーをやめてしまった今でも、その当時の先輩や後輩とつながりがあったりして、私としては辛かった事も含めてとても良い経験をさせていただいたと思っています。

ただそれはあくまで今はディーラーに努めいていない身分の者が言える事であって、今現場でおられる方にとっては本当に大変な事なんだとニュースを見て知りました。

昔は45分車検など到底信じられない時代、今はそれがディーラーで当たり前のように行われている、それによってサービスの現場が疲弊している事は、同じ整備業界にいる者としてすぐに分かる事です。

トヨタ系ディーラーに努めていたので分かるのですが、ディーラー系と一般修理工場との大きな違いは、ディーラーは車検はもちろんそれ以外に故障などの一般修理に加え、リコールの作業をしなければいけません。

実はこのリコール修理が、内容と台数によってはかなり現場への負担をかけているのです。

リコールの内容によっては、エンジンを下ろして分解しないといけないなど、すごく時間がかかる物もあります。

またリコールは予定されていた事ではなく、予定外の仕事として現場にのしかかり、通常の業務の予定を大幅に狂わせていましまい、それが車検など必ず期日までにきないといけない業務に影響を与えます。

結果、車検業務を手短にすませたい、という意識が現場に芽生えるのは仕方ないと感じました。

当社はディーラーでは無いので、リコールは全くやらないのか、というとそうではありません。

実はトヨタ、ニッサン、マツダ以外の、スズキ、ダイハツ、ホンダ、ミツビシ、スバルなどの車は、リコール作業を当社で行えます。

それを考えると、リコールはディーラーでしか出来ない、というルールは無いのにも関わらず、トヨタは頑なに自社でのリコール作業にこだわっているように思います。

理由はディーラー現場にいた者なら少し分かると思いますがここではあえて言いませんが、その事によって現場が疲弊するぐらいなら、一般工場にリコール作業をお願いしてもいいのではないかと思います。

ディーラーのメカニックは一般のお客様から見ると、やはり私たち一般工場のメカニックより、より高度かつ丁寧な整備を行ってくれていると見られていると思います。

ただ、それはあくまでトヨタなどの看板のブランドイメージで、実際は現場にいた者からすればそれは過度なイメージだった感じていました。

もちろん今のディーラーの現役メカニックの方でも、今のお仕事にプライドを持ち技術レベルの高い方が大半だと思います。

ただ思うのは、そういう方をディーラーはもっと大切にして現場のレベルを上げ、より品質の高い修理や車検をお客様に提供する事が本当のディーラーの姿だと思います。

皆さんは45分格安車検をそんなレベルの高い整備士がされると思いますか?

そういう車検は他社の格安車検に任せるべきだったのを、過度な顧客取り込みをするために行った事が、今回のトヨタ系ディーラー不正車検につながったのだと感じました。