走行中に後ろの方から音がすると言う事で入庫となった平成12年式ST215型のトヨタカルディナ。
この車は4WD車でリアにデフがあるタイプです。
トヨタのこの年式クラスのフルタイム4WD(イプサム、プレミオなど)はすべて同じシステムになっています。
お客さんによると、うちに入庫する前に他の業者さんに見てもらったようで、そこではハブベアリングからの音ではないかとの事。
試運転してみると確かに異音の感じからするとベアリングが故障している音のようです。
ハブベアリングの異常なら左右どちらかの場合が多いのですが、走った限りではどちらか判別できませんでした。
そこで工場に帰り車両をリフトアップ。
次ぎにタイヤを空転させリアホイルより音を確認しますが、左右どちらかというより真ん中あたりから音はしている気がします。
もしかしてデフ?と思いつつ今度は車両下部よりデフより音を確認。
どうやら異音の原因はデフケース内より出ている事が判明しました。
デフには色々なベアリングが使用されているのでその辺が怪しそうです。
ということで原因究明のため分解にとりかかりますが、この車はフルタイム4WDのためにリアデフにビスカスタイプのカップリングが組み込まれています。
このフィンのついたアルミケースを取り外すと・・・
姿を現したのが、スズキ車の4WD車でおなじみの(同業者なら分かりますよね)カップリングです。
この車はまだカップリングの音はしてないですけどね。
で、このカップリングの前後にベアリングが組み込まれています。
写真で見えるのが手前の大きいベアリング。
こちらは異常が無いか確認すると大丈夫でした。
次ぎにそのカップリングを取り外し登場したのが奥側のベアリングです。
こちらはどうかな~と確認すると・・・
ベアリングが回るときにゴリゴリといった感触が!
どうやら異音の原因はこのベアリングのようです。
良く見るとケース内に赤錆がついていますね。
もしかしたらケースのシール不良で水が混入しベアリングの破損につながったのかもしれません。
こちらが取り外したベアリング。
こちらが新品のものです。
新品のベアリング、カップリングなどを元通り組み付け修理完了。
試運転に出かけると不快な異音はスカっと直っていました。
お客様には他社の初診ではハブベアリングと診断されていたため、そのまま間違って修理せずにすんで良かったと喜んでいただきました。
ただし、先入観からハブベアリングと診断してしまった同業者の気持ちも分かる気がします。
明日は我が身とならないよう、先入観を持たず多角的な視点からの診断を心がけないといけない、と勉強させられた一件でした。
Sorry, the comment form is closed at this time.