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12月 312013
 

エンジンは異常なさそうだけど、いきなり走行不能不能になったとの事でJAFでレッカーで入庫となったワゴンR。

確かにエンジンは調子よさそうに回っていますが、シフトをパーキングからDレンジに入れるも変速ショックも無く、まるでニュートラル状態。

リバースや2、Lなど他のレンジも全く反応無し。

ミッションへ入っているコントロールワイヤーはちゃんと動いているようなので、どうやらミッション内の異常のようです。

走行距離が11万キロということで、まず基本点検としてオートマチックオイルを点検。

料は適正でしたが、オイルはそれなりに汚れているようでした。

ちなみにこのお車はお客様が他社で購入された物で、これまで当社でメンテナンスはしていませんでした。

 

これまで過去にMC系ワゴンRなどでは、オートマチック内のプラネタリギア破損故障の修理を何度かしたことがあり、今回もミッション内の破損かなぁ・・と嫌な予感。

しかしプラネタリギアの破損なら、走行不能になる前にガラガラなど変な音がしたり、変速がおかしくなったりと前兆があるはずです。

そこでお客様に何か前兆はありましたか?と聞くと、ちょっと前からドライブ入れてもエンジン回転が上がるだけで走らない事があり、徐々にその回数が増えてきて、いよいよ走れなくなたとの事。

ただその際に変な音とかは全く無かったそうです。

 

なるほど。なんとなく原因が推測できます。

Dだけでなく、R、2、L、すべてのレンジがニュートラル状態と言うことは、特定のギアやコントロール系の故障では無さそう。

すべての動作の大元となるのはオートマチック内のオイル。

その油圧が上がらなければすべての動作が出来ないことになります。

 

そこでまずはオートマチックオイルを新油に交換してみました。

が、結果は変化無し。

あいかわらずドライブでも、リバースでも、無反応。

オイルプレッシャーが上がらないと言う事は、オイルポンプの故障?または油路の詰まり?

ん~時間もあまり無いことなので、ひとまずミッションを降ろして分解することにしました。

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ミッションを降し、まずは油圧の元となるオイルポンプを分解し点検します。

 

こちらが取り外したオートマチックのオイルポンプ。

見る限り破損も無さそうですし、動きも問題無さそうです。

 

次ぎに分解したのはオイルの溜まっているオイルパンです。

本来ならオイルパンからオイルを抜いてみて、オイル無いに鉄粉等を確認したかったんですが、ズズキ車のオイルパンにはドレーンが無いんですね。

そこでオイルパンをはがしてみて、オイル内の不純物がどんだけあるかチェックします。

オイルパンを外してみると、鉄粉こそなかったんですが細かいゴミのような物があるのを確認。

これが抜き取ったオイル。

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こちらがオイルパンを取り外したミッションの下部。

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コントロールボディーの中心に見えるのが、オイルを吸うときに大きなゴミを取り除く役割をしているストレーナーです。

 

もしたして・・・

そうです。

そのストレーナー、いわゆるフィルターの詰まりが原因でした。

こちらがそのストレーナーの様子。

写真ではちょっと分かりにくいですが、フィルター表面には細かいゴミがビッシリ。

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こっちが取り外したフィルターの裏面。

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いや~これでは一生懸命ポンプが吸っても、ミッション内にオイルが行き渡らない訳ですよね。

 

フィルターの方を清掃しピカピカに。

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これでオートマチック内にオイル圧がちゃんと行き渡るはずです。

せっかく分解したので、MC系のワゴンRもミッションで多発している、プラネタリーギアの破損が無いか、調べておくことにしました。

手前にあるクラッチ部品を分解。

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その奥に見えるのがプラネタリーギアです。

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ここから見る限りでは大丈夫そうですね。

これ以上分解すると、必要以上の時間がかかってしまうので、この辺で組み付けに入りました。

 

今回の修理ではオイルストレーナーの詰まりが原因という事で、高額な部品が出ず思ったより修理代が安く済みました。

今回はオートマチックオイルが汚れるとこうなりますよ、という見本の様な修理だった訳なんですが、実は一概にどんな車でもこうなるとは言えません。

うちのお客様の中には同じワゴンRでも20万キロ近く走って、オートマチックオイル無交換(補充はしてます)でも、普通に走ってる車両もあります。

その違いは?と言われると、もちろん当たり外れもあるとは思いますが、お客様の使用状況によっても変わってくると思います。

今回の修理車は他社でお客様が買われた車という事で、過去の使用状況や修理暦が不明の車でした。

しかし新車から自社管理のお客様に関しては、私たちメカニックは使用状況等も含めた部分を見極め、その車にとって必要なメンテナンスをお客様に提供していかなければいけないなぁ、と思う一件でした。

 

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