京都北部地域与謝野町の車屋さん安田自動車。車の販売・車検・故障修理・鈑金塗装・保険他、車に関する小さな事から大きな事まで確かな技術と親身な対応でお客様のカーライフをサポートいたします!
7月 162014
 

今回修理させていただいたのは、走行中にフロントまわりから音がするとの事でご来店いただいたご新規のお客様のお車でした。

修理車両はスズキDA64型エブリィで、この車はフルタイム4WDなのでフロントにデフがあります。

実はすでに他業社さんで、フロントデフからの音ではないかとの診断を受けたとの事でした。

一応念のため車両をリフトアップし車輪が空転する状態にし、走行時状態にして音の原因場所を再度調べました。

結果は他社さんの見立て通り、フロントのデフが音の原因である事が確認出来ました。

 

こちらは取り外す前のフロントデフ。

IMG_1403756721562

 

デフからの音の原因ですが、この時点での推測では、音の種類からデフ内のベアリング関係の異常かと思われます。

原因はデフだとわかったので、デフ本体丸ごと変えてしまえばOK!といきたいところでしたが、デフ本体ASSYの新品となるととんでもない金額になります。

そこで中古でフロントデフの部品を調べてみましたが、なかなか安い物が見つかりません。

そこで今回は出来る限り修理代を抑えるため、分解修理を試みる事にしました。

 

こちらが車両から取り外されたフロントデフ。

IMG_1403486087361

フロントデフ自体を取り外し交換する事は、修理業者ならそれほど手間ではありません。

問題はここから。いよいよデフ本体をバラしていきます。

 

デフケースを割るとこんな感じ。

IMG_1403487999028

 

 

こちらが取り外したリングギア類です。

IMG_1403488785756

ここに見えるベアリングが、いわゆるデフのサイドベアリングになるのですが、このベアリングを手で回して見るとゴリゴリとした感触がありました。

どうやらこのベアリングの異常が異音の原因になっているようです。

このベアリングを変えればめでたく修理完了!となれば良かったんですが、このベアリン以外に、プロペラシャフトの動力を受けている軸側にもベアリングがあり、どうやらそちらも怪しいようです。

 

それががこのベアリング。

ピニオンギアのベアリングということで、ピニオンベアリングと呼ばれるこのベアリングを専用工具で取り外します。

IMG_1403664437397

またデフケース側にもベアリングが残っているので、そちらはプレスをかけ取り外します。

IMG_1403672234847

 

取り外したベアリング類はこちら。

IMG_1403759178340

取り外した ベアリングは全部で4個。

ピニオンギアのベアリングの一つに、茶色いサビの跡が見られたのでこちらのベアリングもダメだったようです。

またこれ以外に、リングギア部分の差動機構内部にもベアリングがあるのですが、そちらの方はどうやら異常はなさそうです。

と言う事で今回交換する部品はベアリング4個と各シール3個。

 

このようにベアリング交換自体はそれなりの経験と道具があれば出来ます、が・・ここからが問題の作業があるんですよねぇ・・。

まず最初に直面するのはピニオンギアベアリング組み付け時のプレロード(プリロード)調整。

ピニオンギアは2つのテーパベアリングによって支えられているのですが、そのベアリングのプレロードを考えて組み付けないといけません。

その調整はフランジナットの締め付けにより、写真ベアリング横にあるスペーサーをつぶす事でプレロードが基準値になるよう調整します。

DSC_0834

この調整が難しく修理書によると、トルクレンチでピニオンギアシャフトを回した時の回転トルクが基準値になるように締めていく、との説明があります。

でもこんな微妙なトルク、トルクレンチでわかるかい!

と言うことでカンで締めました(笑)

と言ってもある程度は経験でこれぐらいかなぁ、という裏付けがあってのカンですのでご安心下さい。

 

そして次に待っているのが、ピニオンギアとリングギアのバックラッシュ調整です。

バックラッシュとはリングギアとピニオンギアの当たりクリアランスで、これの調整を間違えるとうなりなどの異音の原因になります。

IMG_1403685261651

これもある程度カンで・・と行きたいところでしたが、めったに使うことがないダイアルゲージを工場奥の方から発掘し、バックラッシュを計測しました。

一応感覚的にはちょうどいい感じだったのですが、調べてみたらちゃんと基準値になっているではありませんか!

といっても別に調整したわけではなく、分解前に付いていた調整シムをそのままを再度組み付けただけです。

運良く狂わなかったのか、それともベアリング交換ぐらいでは狂わないのか?実はその理由までは良く分かりませんが、とにかく調整の必用が無かったと言うことで、余計な時間を費やすことなく助かりました。

 

そしてこちらが組み上がったデフ。

IMG_1403686373847

当たり前ですがバラす前と何ら変わりませんよね(笑

 

デフを車両に取り付け、緊張の試運転へ。

もし唸り音などが出ているようなら、再度デフを分解し調整が必用です。

結果は・・・もしかしたら少しはうなり音がしているのかもしれませんが、走行音の方が大きくてわかりませんでした。

もちろんベアリングの音も解消され静かになっていました。

 

最後に分解修理で直った事を説明し、車両の方をお客様に納車いたしました。

 

実は今回の修理依頼は、当社ホームページにてエブリィのミッションやデフ修理の修理事例を見ていただき、ご来店いただいたとの事でした。

今回のように直接お客様にホームページを見ていただき修理依頼をいただく事は、実は案外少なかったりするんですよ。

 

このホームページで紹介している整備事例では、マニアックすぎてお客様というより同業者の方が見て修理の参考になれば、という意図の内容のの物も多いからなのかなぁ、と思ったりもします。

でもそれは私自身が修理で悩んだ時に、他の同業種さんの整備情報に助けられて来た事が多々あるので、逆に同業種さんで困っている人がいればその人の手助けができれば、という思いもあっての事です。

世の中持ちつ持たれつですよね!

 

 

Sorry, the comment form is closed at this time.